愛国・革命・民主 日本史から世界を考える / 三谷博 / 筑摩書房
書いてあることは日本の幕末~明治維新の内容なのですが、試みていることは普通の歴史書と比べてかなり異色な一冊。
歴史関係書籍はたいてい、歴史的事実とされるものごとを解説したり雑学を寄せ集めたり、出来事や物事のほうに重点を置きがちです。
しかし本書はそこから論をすすめて、歴史的事実に対して「なぜ」を問いかけます。
「なぜ日本で急速な近代化が可能だったのか?」
「なぜ明治維新は他国の革命と比べて死者が少なかったのか?」
など。
言語学や統計学など他分野の知見を取り込みつつ展開される論は、歴史書の枠には入りきらないスケールを持っています。
著者の三谷博先生は常々、日本の学界が海外の理論を輸入するだけなのを嘆いており、日本史から世界に通用する理論を作りたいと仰っていました。
そんな気迫が伝わってくる野心的な日本史、どうぞお楽しみください。
おおよその読了時間
約6時間/349ページ