精神疾患言説の歴史社会学:「心の病」はなぜ流行するのか / 佐藤雅浩 / 新曜社
オススメポイント!
1. ヒステリーやうつなど「心の病」が特定の時代に流行する理由がわかる。
2. 「心の病」が流行する背景にはメディアの存在が大きく影響していることが、新聞記事の分析を通して丁寧に説明されている。
今日、多くの人が抱える「心の病」。
それは決して普遍的なものではなく、時代によって流行が存在します。
本書では、高度経済成長期にはヒステリーが流行し、その後うつ病へと流行が移っていく様子が、明治時代から広がる新聞メディアの分析を通して丁寧に説明されています。
この中で筆者は、歴史的背景や社会のひずみが「心の病」を生み出すと記述しており、昨今主流となっている遺伝学や脳科学とは異なる視点から「心の病」を説明しようとしている視点が新しいです。
分厚い本であり、専門性が高いため読了には時間と集中力が必要ですが、よくある「心の病」について扱った本とは違う発見があります。
現代のうつ病と過去のうつ病の相違点について指摘している点もおもしろい一冊。
おおよその読了時間
約12時間 / 520ページ